<人口爆発>

 

22世紀には100億人を突破すると予測される人類を
地球は支えてくれるのか?


 

地球という星で人類が生存可能な限界を知る「地球の限界(Planetary Boundary)」を考える際に最も重要なテーマが人口爆発です。現在世界の人口は77億人を超えていますが、過去の数値を見ると西暦1000年が2億人で1500年が5億人、1世紀少し前の1900年が16億人ですから、20世紀以降にまさに爆発といえるレベルで人類が増えたことがわかります。2100年には100億人を超えるという国連の予測もありますから、危機感を持つ必要があります。

 


 

現状をSDGsウェディングケーキ図で解説すると、自然→社会→経済の順にピラミッド構造で安定すべき世界が真逆のバランスとなり、膨張し続ける社会(人口)と経済が環境(自然)が支えられない逆三角形の関係性になっていると考えていいでしょう。

 


 

また、人口増加に関して注意すべきは先進国では日本のように人口減少時代を迎えている国があって、今後増加の鈍化傾向が見られるにも関わらず、途上国における拡大がそれを上回って多いために全体としては当面増加が止まらないという状況になっていることです。

 


 

人口が増え続ける途上国に関わるSDGsの重点テーマが【1:貧困をなくそう】【2:飢餓をゼロ】です。


ターゲットを見ると…

●1.1:2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。


●2.1:2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。


など、途上国における切実な状況を見ることができます。

 


 

ところが、途上国で貧困と飢餓に苦しむ人々が大量に存在する一方で【12:つくる責任 つかう責任】のターゲットはこんな内容になっています。


●12.3:2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

 

先進国において食用として生産された農水産物の1/3は消費されることなく廃棄されているといわれています。その中には飢餓で苦しむ途上国で生産されたものが多く含まれるのにです。

 


 

なぜこのような事態が生まれるのでしょうか?そこには人類が生み出した経済のシステムが複雑に影響を及ぼしています。

そもそも自らの土地で収穫する食物で自給自足的な生活をしていた時代の途上国では人口が安定していました。ところが先進国による植民地化や交易のはじまりで「貨幣経済」が入ってきたことにより、生産を拡大し経済を発展させることが豊かさの指標となりました。それまでは日々の糧であった農産物は輸出品としての換金作物となり自給自足は崩壊。土地や資源と労働力を先進国に安く利用されるために貧困が進みながらも、大量生産・大量消費の資本主義経済システムに人口増で対応する悪循環を止めることができなかったのです。

 


 

では、持続可能な開発を目指すSDGsでは、この状況にどう対応しようとしているのでしょうか?

【9:産業と技術革新の基盤をつくろう】には以下のターゲットが記されています。

 

●9.2:包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及びGDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同割合を倍増させる。

 

つまり、持続可能な産業化の促進において途上国の比率を高めることが約束されています。

 

また【10:人や国の不平等をなくそう】には以下のターゲットがあります。

●10.b:各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。

 

ここでは先進国の資金を途上国の開発に使うことも約束されています。

※他のターゲットにも途上国支援をベースとする同様の内容が並んでいます

 

 いかがでしょう?途上国の貧困や飢餓を招いたのは貨幣経済のシステムですが、その解決に向けても貨幣を用いた政策が立案されているところに着目してください。
【17:パートナーシップで目標を達成しよう】のターゲットの2番目を見ると…

 

●17.2:先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15〜0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメ ントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。

 

というように具体的な数値と共に世界が協力関係を構築することになっています。

 

SDGsは2030年をゴールとする目標をたてていますが、人口爆発はその後も22世紀に向けて続きます。ここで定めたルールやパートナーシップを継続することで、人類は「地球の限界」に沿った最適な世界人口モデルをコントロールしていかなければなりません。それは自然→社会→経済のバランスがとれたピラミッド構造を取り戻すことでもあるはずです。